M&A界の隠れた巨人 企業評価総合研究所 のこと
実はさっきまで私は3つの会社の役員を兼ねていました。
アンドビズ株式会社はもちろん、グループ会社で私自身創業のメンバーの一人である日本最大のM&A仲介会社日本M&Aセンター、そしてもう一つが企業評価綜合研究所です。
企業評価綜合研究所というのは、日本M&Aセンターのグループ会社の一つではありますが、恐らく名前を知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。
この会社は、実は2つ凄いところがあります。
一つは多分日本で一番たくさんの企業評価、つまり会社の値付け業務をやっている会社だということです。
実は日本M&Aセンターの企業評価業務の大半はこの会社が行なっています。当然毎日ものすごい数の案件データを処理しているので、その数は半端無いわけですね。
でもそれだけなら単なるアウトソーシングセンターと言えなくも無いのですが、この会社には、他の会社に無い特別な目的があるのです。
それは「膨大な売買事例に基づく会社の評価」方法の確立です。
M&Aを実際に経験したことのある方ならご存知かと思いますが、M&Aの売買価格の値付け、すなわち企業評価額は、いくつかの算式に基づいて算出されます。
どの方法にもそれなりに理論的、経験則的な根拠はあり、大抵はその評価額をベースに交渉によって最終的な株価を決定して行くのですが、これって少し特殊だとは思いませんか?
例えば上場会社の株価って、PERやPBRといった指標はあれど、基本は毎日の取引の相場によって値段が変わりますよね。土地とかだって毎日値段変わる訳ではないけれど、長いスパンで見れば実際の取引によって坪いくらみたいな相場が形成されて行きます。
中古車とかもどうですが、基本的にそれなりの値段のするものというのは、きちんと売買事例からくる相場があって、その相場に基づいて値段というのが決まってくるはずです。
ではM&Aの世界では相場はないのか?
実はあるにはあるのですが、実際の話、ほとんどわかる人はいないといったらいいと思います。
というのは、M&Aの場合取引事例が少なすぎるだけでなく、その事例自体が非公開になっているため、売買価格を参照しようにも、そういうデータが集積されたデータベース自体が存在しないからです。
ということで、お気づきでしょうか?
企業評価綜合研究所は日本で一番企業の値付けをしている。そして日本M&Aセンターは日本で一番多くのM&A案件を成約させている。
ということは・・・そうです両社のデータを照合すれば、実際の取引事例に基づく売買データベースを作ることができるはずです。
もちろん、成約事例ひとつとっても、業種や規模、地域は千差万別で、しかも財務内容は全て異なる訳ですから、実際に使用に足る値に数学的に収束するためには、様々な統計学的なアプロートを含めても相当の量のデータが必要です。
いくらAIやらなんやらが発達しても、結局元になるデータが質・量ともに十分でなければダメなのです。
日本M&Aセンターでは過去4000件以上の成約事例をもち、更に毎年500件以上の成約実績を積んでいますが、それでもまだデータとしては十分とは言えません。
実際のところこの取引事例に基づくM&Aの売買データベースの作成はまだ緒に着いたばかりで、最近ようやく一部の業種で実用的なデータの供給が始まったばかりです。
しかし、もしこれが日本中の全業種に提供できるようになり、単なる財務内容から弾いた理論値ではなく、あたかもマンションや中古車の取引のように、業種、地域、売買時期、トレンドなどを加味した、本当のM&Aの売買相場を知ることができたら、劇的にマーケットが変わるだろうと私は思っています。
まあそこまで行くにはまだまだ時間がかかりそうですが、私はいつか&Bizでもこのデータを活用して、AIを使ってもっと簡単に自分の事業の本当の値段がわかるようにしたいと思っています。
今はまだ夢物語かもしれませんが、いつかは必ず実現させますよ。
さて、そんな企業評価綜合研究所の役員も設立以来務めてきた訳ですが、アンドビズの経営に専念するため、本日任期満了で退任することになりました。
もちろん、役員こそ離れるものの、これからもバッチリ連携をとって、いつか理論ではなく、本当の取引事例に基づく評価額を簡単に提供できるように努力して行きたいと思っています。
ぜひご期待ください。
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