スーダン緊急食料支援で77ヶ国3000人を指揮した伝説のリーダー「忍足謙朗さん」の講演に行ってきました
日本M&Aセンターグループの「事業承継ナビゲーター」では、過去M&Aでハッピーリタイアをした元経営者の方々に、M&A後も充実した生活をしていただく一助として、「サクセスクラブ」という会員制組織を作って、様々な活動しています。
今日は、2014年まで国連WFPアジア地域局長として、コソボ、スーダン、ミンダナオ島など各地の紛争地への食料援助において世界的なご活躍され、「情熱大陸」「プロフェショナル 仕事の流儀」など数々のTV番組にも取り上げられた忍足謙朗(おしだりけんろう)さんをゲストにお招きして、お話をお伺いする、ということで、ご挨拶もかね参加してきました。
さて、忍足さんが所属していた国連WFPとは「World Food Programme」の略で、日本語で言えば世界食料計画という国際機関。
現在飢餓状態で苦しむ人達は全世界で8億人もいるそうですが、WFPは2030年までに世界から飢餓を消滅させるという理想を掲げ、毎年約80カ国 8,000万人に食料支援を行い、飢餓とたたかっている組織なのです。
特にその援助の80%が紛争地帯向けであり、今まで100人近い職員が殉職するなど、本当に苛烈な環境の中、忍足さんは77ヶ国3000人以上のスタッフを指揮し、飢餓に苦しむ人達に分け隔てなく、かつ生命を保つために緊急迅速に、食料を送り届けてきた、プロ中のプロともいうべき方です。
忍足さんによれば、特に深刻なのが新生児の飢餓の問題で、世界の新生児の4分の1にあたる、1億6000万人が深刻な飢餓状態にあるそうです。
新生児の飢餓が問題なのは、妊娠から最初の1000日、つまりは2歳になるくらいまで栄養失調状態が続けば、発育阻害によって深刻な体力、学力、および精神の疾患を招き、これは大人になって栄養状態が良くなっても治ることはない為。
全世界では一日で8700人の新生児が亡くなっており、かつ発育阻害による経済的影響を考えると、新生児の飢餓問題だけで、世界のGDPの11%が失われている計算になるそうです。
人道的な面だけでなく、経済的な面であっても、子供たちを救うことは世界のためになる、ということなんですね。
そうした重要性から、WFPは国連の機関ではPKO(国連平和維持活動)に次ぐ6000億円の予算が割り当てられ、PKOを凌ぐ国連最大の輸送部隊を保有しているのだそうです。
忍足さんのお話で印象的だったのは、「Do Things Right(物事を正しくやる)のではなく「Do the Right Thing(正しいことをやる)」のがもっとも大事だということ。
同じ正しいことでも、「方法が正しい」のが大事なのではなく、「目的が正しい」ということが何より大事。
特に緊急時には、例えルール通りの行動でなくても、正しいことをやるという意識さえ全員が一致していれば、あとはシンプルな命令だけで、77ヶ国3000人の組織は動くのだ、という訳です。
経営者の世界でも、迷ったら最後は正しいことをせよ、とかGoogleの社是で有名な「邪悪になるな」と同様、究極のリーダーシップというのは、「正しい目的」あって初めて発揮されるということなのでしょうね。
もう一つ、地球なんてどこに行っても飛行機ですぐに行かれるのだから、ともかく狭い、小さいもんだ、と言っていましたが、確かにその通りだと思いました。
私たちは何につけても日本と海外を分けて考え、特にアフリカや中南米のことなど、はるか遠い国のこと、と考えがちですが、物理的に考えれば全くそんなことないわけです。
地球は狭い、小さいと思っていたら、狭い地域やあるいは国でさえも、それほど拘るのものでもないのかもしれません。
最近は企業の社会貢献活動が様々なところで話題になりますが、アンドビズ株式会社、あるいは私個人としても、今後こうした正しい目的のため努力されている方々の活動に対し、様々な支援をしていきたいと考えています。
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