名古屋の事業承継の特徴とは?ナゴヤ地方創生サミットで考えました。
名古屋は私の思い出深い場所の一つです。
私自身かつてM&Aの専門家として多くの案件に携わった地でもありますが、5年前に日本M&Aセンターが名古屋支社を開設した時、私が最初の責任者を務めた場所でもあります。 当時大阪支社長も兼任していた為、名古屋に居を構えること自体はありませんでしたが、設立パーティーには500人以上の方にお出でをいただき、その期待の大きさに思わず身震いしたものです。
さて昨日、その思い出深い名古屋支社が設立5周年を迎え、同時に東海地方での提携先が400社を突破したとのことで、その記念イベントが開催されました。
その催しの一つが、『ナゴヤ地方創生サミット』。
名古屋でご活躍の専門家の方を招き、パネルディスカッション形式で東海圏の事業承継やM&Aの未来についてのお話をお伺いするというものです。
そこでかつての縁で、私がコーディネーター(モデレーター)を務めることになったわけなんです。
ご登壇いただいた専門家の方は、名南M&Aセンターの篠田社長、セレンディップコンサルティングの高村会長、名古屋大学大学院経済学科の山田教授、公益財団法人あいち産業振興機構の森理事長のお4方。
皆さま本当にお話が上手く、コーディネーターの私が勉強させてもらうことも多々あり、久々にとてもいいパネルディスカッションになりました。
皆さま本当にありがとうございました。
お話をお伺いして、強く感じたのは、事業承継というのは本当に地域に密着したもので、全国一律に考えるのではなく、地域の文化や実態に応じて、その地に根ざした形でしなければならないこということです。
例えば東海圏の特徴は以下の通りだそうです。
1)圧倒的なメーカー立国。愛知県の製品出荷高は39年連続一位で、第二位の神奈川県の約2.6倍。愛知がトップの工業製品は10文野以上あり、モノ作り日本の象徴的な地域。
2)自動車、電機、機械の3業種で全体の64.7%を占め、中でも自動車の比率が44.9%と圧倒的な比率を占める。
3)モノづくり日本の中心として、経済的に恵まれた地域で、それ故に外に出て行くという意識が薄く、全てにおいて地域内完結を志向する傾向が強い。
4)東海三県の廃業率は4.7%で全国平均と比べ、過去一貫して高水準で推移している。設備投資が必要な製造業が多い為、実は事業承継自体が他地域と比べ難しいという側面があり、又後継者不在率も全国平均より高い。
5)事業承継について、三大都市圏の中では圧倒的に”息子を後継者に”と考える割合が高い。
6)一方で息子以外で考える承継方法は従業員や身内ではなく『M&A』という意外な調査結果もあり、息子に継承できないなら、一層のこと有能な第三者へという割りきりもある。
7)M&Aについて言えば、譲渡の時期が、全国平均より5歳近く若い。又業種は土地柄を反映してメーカーが非常に多い。
8)キャッシュリッチでかつ業績が良い早い時期にM&Aするケースが多いことから、売買価格も全国平均より高額なケースが多い。この背景として、製造業に多く見られる”製造責任”の考え方があり、その責任を果たせなくなる前に事業承継をすべきという意識もある。
9)東海圏の企業が買収側となる時は、同じ東海圏で買収することが多く、M&Aによる他地区への進出は少ない。一方でM&Aによって他地区から東海圏に進出するケースはかなり多い。これは東海圏は地元志向が強く他地区からの進出が難しいという事情や、日本に遺された数少ない量産メーカーの集積地という特別な業界事情も反映している。
などなど、本当はまだまだ沢山興味深い話もあったのですが、それにしても経営というのはその土地に根ざした文化そのものなのだとお話をお伺いして改めて実感しました。
&Bizでも、是非その地の特徴や文化を尊重し、地元に密着した形で、事業のバトンタッチを進めていきたいですね。
こちらは終了後のパーティの一場面です。参加者600人という大変盛大なものとなりました。
かつて名古屋でお世話になった金融機関の方や会計事務所の先生方に久しぶりに再会することができ、とても楽しかったです。
またちょくちょく名古屋にお伺いしますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
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